日本におけるサンデーサイレンス、ノーザンテースト・・・海外におけるサドラーズウエルズ、デインヒル・・・とくれば大成功種牡馬です。その一方で失敗した種牡馬もいるわけで、その数のほうが圧倒的に多いと言えます。なかには、華々しい競争成績をひっさげ期待を背負って種牡馬になったものの、生殖能力に問題があったり、特定の牝馬にしか興味がないという人間みたいな性癖などで種牡馬失格になった馬もいます。
有名なところでは、アメリカ競馬史上もっとも稼いだ馬「シガー」です。この馬は、16連勝などの記録を残し、90年代最強馬との声も多くあがるほどの名馬です。引退後は、鳴り物入りで種牡馬になりましたが、無精子症であることがわかり、とうとう1頭の仔も残すことができませんでした。
最近では、アメリカ2冠馬「ウォーエンブレム」がやってくれました。2004年に日本に導入されたのですが、ほとんどの牝馬に興味を示さないのです。むしろ種付け自体を嫌がるという体たらく。初年度は7頭だけに種付けを行い、生まれたのはたった4頭でした。翌年、種牡馬実質クビということになります。
いったいこの馬は何を考えていたのか?好きなタイプの牝馬じゃないとイヤなのか?じゃあどんな牝馬が好きなのか?それとも愛がないとSEXしないという古風なタイプなのか?馬がしゃべれるなら聞いてみたい・・・そんな思いが強くなります。
しかし、その後2007年にデビューした4頭全てがJRAで勝利をあげたのです。ウォーエンブレムが優秀なのか?愛のある仔は走るのか?謎は深まるばかりなのです。
日本でもっとも有名なのは「メジロアサマ」の話でしょう。「シンボリルドルフ」の父として、その名を馳せた「パーソロン」産駒初期の傑作です。天皇賞を勝ち引退後は、パーソロンの後継種牡馬として期待されましたが、初年度の受胎はゼロでした。精虫の数が極端に少なかったのです。当然種牡馬としては失格となりました。
しかし、馬主であった北野氏はこの馬を引き取り、根気良く種付けを続けました。メジロアサマの子供で、なんとしても天皇賞がとりたかったのです。生涯の産駒は、わずか19頭を残すにとどまりました。しかしそのなかから、天皇賞馬「メジロティターン」が誕生したのです。
そしてメジロティターンの産駒「メジロマックイーン」が天皇賞を勝つことになるのです。北野氏の執念が、天皇賞父子3代制覇という偉業を成し遂げた原動力だったと言えます。
残念ながら、メジロマックイーンの仔=4代目のなかから、まだ天皇賞馬は誕生していません。ただ「ホクトスルタン」が20008年・天皇賞4着と健闘しました。天皇賞父子4代制覇の夢は、来年の春に持ち越されています。
茂雄
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