先日、日本において競走馬のSEXは一切禁止という話をしました。そして、競走馬どうしの逢引きなど普通ありえないとも申し上げました。
しかし、実はあったんです。現役牝馬が妊娠していた事件。
それは、モリケイという牝馬の出産事件です。
昭和52年にデビューし7戦を消化した翌53年春、厩舎スタッフが馬房をのぞくと出産済の彼女と仔馬がそこにいました。馬の妊娠期間は約11ヶ月と言われていますから、妊娠したままレースに出ていたことになります。
その間、重賞で5着に健闘していたのですからアッパレです。
その後ママさん競走馬として復帰、中央・公営で通算8勝をあげました。
もう1頭いました。シバカオルです。
昭和57年にデビューした彼女、どんなにハードな調教をしても絞れません。
翌58年、いよいよオカシイということで診察したところ妊娠9ヶ月とわかりました。
いずれの場合も、牧場で放牧中にどこの馬の骨ともワカラン男馬にやられたようです。そこに愛があったか否かは全くわかりません。
また、仔馬は父親不詳ですからサラブレッドとして登録されることはなく乗用馬になりました。
少し悲しい気もしますが、サラブレッドの血統は絶対なので仕方ありません。
では海外ではどうなのか?
実は、ヨーロッパでは競走馬と繁殖馬との線引きが日本ほど明確ではありません。
一般的には日本と同様に引退後、優秀な牡馬は種牡馬に、牝馬はお母さん馬になります。しかし、「競争しながら繁殖やったっていいんじゃない?」という考え方がヨーロッパにはあるようで、競争馬をしながら種牡馬をする、あるいは繁殖牝馬をすることもあるのです。
有名なのは、ウインドインハーヘアという牝馬で、1995年妊娠したままGⅠを勝ちました。父親がわかっていましたので、その仔はサラブレッドとして登録されました。その後、彼女は日本で繁殖生活をおくることになるのですが、7番目の仔として2002年に出産したのがあのディープインパクトなのです。その活躍ぶりはあまり競馬に詳しくない方々でもご存知のとおり。
というよくできたウマイお話。いやはやお後がヨロシイようで・・・。
茂雄
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